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三浦しをん作「風が強く吹いている」 

今日は、一日人間ドックに行ってきました。
2年前の夏、一泊人間ドックで、子宮頸ガンの疑い有りとの結果が出て、泣きの涙で追検査を受けたら、異形成だけれど癌ではないということで、今も、定期的に検診を受けています。
そして、二年後の今日、今度は子宮体ガンの疑いで再検査になってしまいました^^;
前例があるので、今度は慌てず騒がずですが、頸癌の定期検診も、痛みを伴い、時には出血してそのまま仕事に戻れないときもあるので、またこれに体ガンの検査まで加わるかと思うと憂鬱ではあります。
もう、お役御免だと思われる子宮なので、早めに取って欲しい気分ですが、そうもいかないのでしょうね^^;





そんな日に、思い出したのが、夏の初めに読んだ小説「風が強く吹いている(三浦しをん著)」)です。
この小説は、今年のNHK中学校放送コンテストの朗読課題六冊のうちの一冊でした。
課題図書は、中学生に読んで欲しい本の中から選ばれているので、そのほとんどが、大人の私が読んだことのあるものなのですが、今年は、この本と「君たちはどう生きるか(吉野源三郎著)」を読んでいなかったので、指導のために大急ぎで読んだわけです。
すると、この二冊とも、人としていかに生きるべきかをテーマに書かれた感動的な本だったので、課題を選ぶ人は流石だなぁと読み終えた直後から考えていました。

さて、コンテストでは、選手が自分の選んだ一冊の中から、自分の心に触れた箇所を1分半に収まるように選んで朗読します。
ですから、生徒によって選ぶ部分は千差万別。
選手の数だけ朗読の種類があるというわけです。
ところが、今年は、どういう訳か、地区大会でも県大会でもこの「風が強く吹いている」を選んだ生徒が約半数居ました。
そにため、大雑把に言うと、地区大会と県大会合わせて40箇所程度の1分半の「風か強く吹いている」が朗読され、私はそれを聴いたことになります。
映画にもなったこの小説は、高校陸上部時代、致命的な故障をして競技者としての道を諦めたエリートランナーのハイジと、別の高校の陸上部時代問題を起こして陸上から遠ざかっていた天才ランナーの走(カケル)との出会いから始まります。
ハイジは、同じアパートの住人を誘い込み、自分の父親でもあった高校時代の陸上部の監督のスパルタ教育とは違うやり方で、箱根駅伝を目指します。
勝算は、全員がアルコールに強いということのみの素人集団。
しかも、エントリーの人数ギリギリの10人。
まるでお伽噺のようなお話ですが、そのエピソードにひとつひとつにリアリティーがあり、次第にマジに引き込まれていきます。
練習中のカケルの葛藤とハイジの意味深な言葉かけに、心を奪われます。
また、箱根駅伝当日のタスキをつなぐ10人の選手の心の動きの描写に、これでもかっと揺さぶられます。

ところで、県大会当日、私は、突如こんなことを思いました。
「小説家とは凄いものだ。小説のどこを切り取っても美しい文章や感動的な内容が詰まっているのだな。」

県大会が終わって、帰宅してから、あとがきを読むと、「出来る出来ないという基準ではない価値を築けるかどうかを小説を通じて考えてみたかった。」という著者の言葉が引用されていました。
著者自身「報われなかったのは頑張らなかったからだという考え方に納得がいかない。」そうです。

俺たちが行きたいのは箱根じゃない
走ることによってたどり着ける、どこかもっと遠く、深く、美しい場所


人は何のために生き、何のために頑張るのか。
この小説は、それを婉曲的に教えてくれます。

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by lee_milky | 2011-08-09 15:33 | Book Review | Comments(0)
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