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먼길(遠い路)に思う・・・小倉紀蔵著「韓国ドラマ、愛の方程式」より

「遠い路」を見、その感想をコメント欄で、みなさんとお話ししているうちに、昨年読んだ小倉紀蔵著「韓国ドラマ、愛の方程式」の一節を思い出しました。

この本は、私達?おばさま族がなぜ「韓ドラ・韓国俳優」を愛してやまないのかを切り口に、韓国独特の思想や政治についてわかりやすく書かれた本ですが、この本の第14章に「ペ・ヨンジュンとキムタク」というのがあります。
今、韓国は「プレモダン(前近代)」「モダン(近代)」、これに対して、日本は「ポストモダン(脱近代)」の時期にあるのだそうで、おばさま族は、現代の韓国と同じ「プレモダン(前近代)」「モダン(近代)」の時期に育ったわけです。
そして、この時代のアイドルといえば、「善玉」「二枚目」「純情可憐」「金持ち」の代名詞である「国弘富之」「三浦友和」です。
逆に、「悪玉」「三枚目」「性悪いけず」「貧乏」「の代名詞「松田優作」で、いわば、「国弘富之」「松田勇作」はセットだったわけです。
これに対して、「ポストモダン」の現代に活躍する「キムタク」は、ひとりで二つの役割を持っているのです。
こういう曖昧な存在に辟易していたおばさま族が絶対的なヒーロー「ペ・ヨンジュン」に飛びついたというわけです。

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<2001年・韓国作品> 天涯孤独な青年ウシク(イ・ビョンホン)と恋に破れたばかりのソンジュ(パク・チニ)が偶然、駅で出逢う。そしてふたりはある「取引」を交わす……。

恋人になりすます二人の不思議な旅が始まった。
美しい情景と音楽を背景に、素朴であたたかい家族愛を描いた感動作。
「冬のソナタ」にも登場した東海(トンへ)を舞台に、イ・ビョンホンの純朴な演技がキラキラと光っている

これは、NHKのホームページでの「遠い道」の解説から引用したものです。

このドラマと平行して撮っていた「美日々」での演技を誰が「純朴な演技」と評するでしょう。
私は、今回久しぶりに「遠い道」を見て、「美日々」のミンチョルと顔は全く同じなのに、その表情のあまりの違いに、はじめ不思議な感覚にとらわれ、次第に、「遠い道」の世界に引き込まれていきました。

私は、「善玉」でも「悪玉」でもあり、「二枚目」でも「三枚目」でもありながら、絶対的な異彩を放ってきたのがビョンホンシではなかったか、「キムタク」であり「ペ・ヨンジュン」であるのがビョンホンシなのではないかと思います。
つまり、韓国の「プレモダン」「モダン」の良さを残しながら、韓国の他の俳優さんより、一足早く「ポストモダン」への道を駆け上ってきたのがビョンホンシではないのかと。

私が、なぜ、ビョンホンシでなければならなかったのか。。。その答は、この辺りにもありそうです。
みなさんは、どうですか?

また、韓国ではアンチビョンホンも多いと聞きますが、これは時代を先駆ける人の宿命です。
心配しなくても、時代は、必ずビョンホンシの後からついて来るのではないでしょうか。
by lee_milky | 2006-01-05 00:09 | -遠い路 | Comments(14)
Commented by 南の風 at 2006-01-05 00:23 x
何か、すご~く安心しました
ずっと、いつの間にか心のより所になっていたんだなと気づきました
再び、ここに出会えて嬉しいです
我が家に帰って来たと同時に、この開設のお知らせ
良い年の幕開けかな
映画やドラマのニュースも教えていただいて
また、楽しみが出来ました
「遠い路」、また、見ようと思っています
ちなみに、私も車はず~っと、日産です
Commented by lee_milky at 2006-01-05 00:31
南の風さん、お帰りなさい。
「遠い道」落ち着かれたら、ゆっくり見てくださいね。

私は、乗ってる車は、ずっと、トヨタなんです(苦笑)
乗せられてると行った方がいいのかな?

明日から、出勤ですか?
お仕事頑張ってくださいね。
Commented by kokoro at 2006-01-05 01:33 x
こんばんは~^^
おお!!ブラボー☆です。まったく同感です。。
遠い道を見たときの感想までも。
ウシクはドキドキ感はないけどとても側にいたい人です。包容力抜群ですね。
そして、艶消しのようなその素朴さを演じきれるBHさんに唸りました。

私は実はかつて俳優キムタクファンでした。
中でも爽やかな役より屈折した方が好きでした。
でも、少し自分の好みとのズレが出てきた頃にBHさんに出会ってしまったのです。

彼の作品の選び方(特に映画)が好きです。
韓国では風当たりが強いだろうに。。と思います。
BHさんが文学好きなことも影響してるような気もしますが。。
先駆者は孤独ですね。。でもそれだけに醍醐味もあるでしょうね。

「ポストモダン」か~!とてもわかりやすい説明ありがと~です。
長文ですみません。。。^^;
Commented by pearl65 at 2006-01-05 08:14
おはようございます。
大変わかりやすいお話ありがとうございます。

>「善玉」でも「悪玉」でもあり、「二枚目」でも「三枚目」でもありながら、絶対的な異彩を放ってきたのがビョンホンシではなかったか、「キムタク」であり「ペ・ヨンジュン」であるのがビョンホンシなのではないかと思います。

大きくうなずいてしまいました。当時小学生でしたがTBSの赤いシリーズなど食い入るように見ていました。今思うと思いっきりベタな展開のドラマでしたが・・・確かに善人と悪人のキャラクターがはっきりしていましたね。
仰るとおりビョンホンさんは「ポストモダン」に当てはまりますね。すばらしい分析です。恐れ入りました-(T_T)-   

私も上のkokoroさんが仰るとおり映画の選び方が好きです。
興行俳優の仲間入りをしても、大衆に迎合しないその作品の選び方。初期のころから映画には並々ならぬ熱意を持っていたのだと、過去の作品を見て思いました。
Commented by lee_milky at 2006-01-05 13:19
kokoroさん、pearlさん、こんにちは。
私も、ビョンホンシの映画の選び方、好きです。
>興行俳優の仲間入りをしても、大衆に迎合しないその作品の選び方。
なるほどです。
興行的に成功する以前も後も、その選び方のスタンスは変わっていないように思います。
また、どの作品も、解釈に余韻を残すものが多くて、私は好きです。
これは、ビョンホンシの意志が反映されているかどうかはわかりませんが。
なぜなのだろう?
こうなのではないか?
そう思えて、自分も映画を作る側のような錯覚に陥れるところが、私が、映画観賞後壊れる原因でもあります(爆)

>BHさんが文学好きなことも影響してるような気もしますが。。
先駆者は孤独ですね。。でもそれだけに醍醐味もあるでしょうね。
なるほどそうですね。
このまま、自分のスタイルで駆け抜けてほしいです。

アー、それにしても、こうしてみなさんと、お話しできるのがブログの醍醐味ですよね。
楽しいです。
有り難うございました。
Commented by みずき at 2006-01-05 16:37 x
milkyさんこんにちは。
このレビュー興味深く読ませて頂きました。
私がビョンホンさんに惹かれたのは小倉さんの分析のような絶対的なヒーローではなく、milkyさんの分析の通りで、遠い路の感想もまったく「そう、そう」という感じです。日本の俳優さんやドラマがすごくうすっぺらに見えたのです。ビョンホンさんの知的で奥深いところが魅力ですね。

「to me]を聞いた時、韓国語があんなに可愛くて、フランス語のように聞こえたのには驚きました。会話を聞いていると可愛いですよね。「アラッチ、ノムノムコマウォヨ、ケンチャナヨ、オンマー、アッパー・・・」
韓国語大好きです。聞き取りだけでも少し出来るようになれたら良いけど
早口なのねー。
Commented by 南の風 at 2006-01-05 18:19 x
「善玉」「悪玉」と聞いて、「美日々」のミンチョルを思い出しました
初めは、悪役の設定だったところを興味深い役どころに代えながら、ストーリー展開されたのですよね
演技力が役に重みを付けたのかな
脚本以上の人物を作り上げたように、脚本家のコメントから想像しました
この時も賛否両論あったと言われてましたよね
ビョンホンさんの役者としてのエネルギーについても共演の俳優さんがお話しされていたようですがこの周りを揺すぶるエネルギーに私も惹かれているような気がしてきました
Commented by lee_milky at 2006-01-05 18:50
みずきさん、こんにちは。
>日本の俳優さんやドラマがすごくうすっぺらに見えたのです。ビョンホンさんの知的で奥深いところが魅力ですね。
私が「遠い道」で感じたのは、設定は、韓ドラにありがちな薄幸の主人公なのですが、このドラマには、なぜ、ウシクが孤児院で育っていなければならなかったのかという説得力がありますよね。
そうでなければ、あのようなストーリー展開にはならなかったはずですから。
こうなれば、こうなる。
こうなれば、こうなる。。。という、ビョンホンシの口癖というのか、면..면..って、インタビューなんかの時に言うのが、耳に残っているのですが、そういう必然性のようなものをビョンホンシはすごく大切にしているから、それが彼の演技にも表れているし、出演作品にも反映されているのではないでしょうか?
Commented by lee_milky at 2006-01-05 18:50
つづきです。

韓国語の音の美しさは、私は、実はほかの方のコメントで、初めて気づいたんです。
というのも、昔、うちの近所に韓国人のおばあさんが店番をしておられる駄菓子屋さんがあって、そのおばあさんの韓国訛りの日本語がすごく口調がきつくて怖かったんです。
勉強不足で、どういう局面でそうなるのかわからないのですが、韓ドラでも、年配の方の台詞に良く出てくるのですが、のどを鳴らしたような発音、それが、子供心に怖かったのですね。

私の覚えている限りでは、ビョンホンシの役の中では、美日々の9話で、ヨンスが、ミンチョルとソンジェを勘違いしていたことを話したとき、「僕の事を穴が開くほど見ていたのはそのためか?」って言うときに、ミンチョルがのどを鳴らします。
今では、みずきさんのおっしゃるように、韓国語の音の美しさをだいぶ感じられるようになったのですが、この音だけは、いまだに私のトラウマになっています。

Commented by lee_milky at 2006-01-05 19:09
南の風さん、そうでしたね。
ミンチョルの中には、「悪玉」の部分と「善玉」の部分が混在していましたね。
それが、南の風さんがおっしゃる
>興味深い役どころに
というところなのでしょうか?

でも、もともと、人間って、そういう存在ですよね。
それこそ必然のような気がします。
もっとも、私は、「善玉」の部分を多く持つ後半より、「悪玉」の顔が前面に出ている前半部分のミンチョルのほうに魅力を感じますが。

>周りを揺すぶるエネルギーに私も惹かれているような気がしてきました
なるほど~。
私、この南の風さんのコメントから、すごく書きたいことが出てきました。
レビューにさせてくださいね。
Commented by Jennie at 2006-01-05 23:56 x
milkyさん
ごあいさつが遅くなりごめんなさい。
あけましておめでとうございます。そして、ブログ開設おめでとうございます。とっても素敵なブログですね。
今年も興味深い記事を、楽しみにしています。

さて、遠い路ですが、去年この作品を見た頃は、ミンチョルにずぶずぶにはまっているだけで、まだまだあんまりビョンホンssiのことをよく知らない頃でした。そして、この一年間で、作品もいくつか見て、そして彼の考え方とか、演技に向かう姿勢などを少しは理解してから見た、今回とでは、さらに感動が深まったような気がしました。記事にもありました、善玉と悪玉ではありませんが、演じ分けというか、人物像や感情の引き出しをものすごくたくさん持っているビョンホンssiは、やはりとんでもない俳優なんだなあと思ってしまいました。

善玉と悪玉の二面性を持つミンチョルの話で思い出しましたが、確か、オールインの時にもコメントしたと思うのですが、この二面性を持つ危うさがミンチョルの魅力でもあり、そして善玉しか持っていないイナよりもミンチョルに大きく惹かれてしまう理由なのかなと思いました。さて、今年はどんなビョンホンssiが見られるか、楽しみですね。
Commented by lee_milky at 2006-01-06 00:05
Jennie さん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

>この二面性を持つ危うさがミンチョルの魅力でもあり、そして善玉しか持っていないイナよりもミンチョルに大きく惹かれてしまう理由なのかなと思いました。
私は、はじめ、ミンチョルよりイナ派だったのに、皮肉にも、オールインのレビュー後、ミンチョル派に変わりました。
それは、やはりJennie さんのおっしゃるとおりなのだろうと思います。

次回作はどんな役を演じるのでしょうね。
映画もドラマもすごく楽しみ♪
Commented by こっとん at 2006-01-06 01:23 x
 milkyさん こんばんは。

ビョンホンssiの演技はもちろんですが
milkyさんをはじめ、皆さんのコメントも同く知的で奥深く(?)

「うんうん」と頷きながら楽しく読ませていただきました。

早速時間を作って小倉紀蔵著「韓国ドラマ、愛の方程式」
を読んでみようかなと思っている自分がいます。

でもその前に録画した「遠い路」が観たいのですが…。

こういう場を作ってくれた、milkyさん本当にありがとう♪



 




Commented by lee_milky at 2006-01-06 01:35
こっとんさん、こんばんは。
>「うんうん」と頷きながら楽しく読ませていただきました。
私も、全く同じなんです。
そして、皆さんのコメントを読んで、また、新しい考えに及んでいます。
ブログってやっぱりいいなぁって、実感しています。
だから、お礼を言いたいのは、私のほうです。
本当にありがとうございます。

小倉紀蔵著「韓国ドラマ、愛の方程式」
この本は、本当にお勧めです。
読みやすく、しかも奥が深いのです。
その上、読後感もさわやかです。

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