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「日輪の遺産」より

渋谷由里著「馬賊で見る『満洲』~張作霖のあゆんだ道」(講談社)を読んだ時、「ビョンホンシを追ってここまで来てしまった」と書きました。
そこは、満州。
中国の地の果てでした。
その本のあとがきに小説家浅田次郎さんに渋谷由里さんが資料提供をし、近々に張作霖を題材にした小説が刊行されるとあるのを見つけ、早速読んでみたのが浅田次郎著「中原の虹」でした。
この小説で描かれた張作霖と奴×3のチャンイのイメージがダブり、私は、しばらくの間興奮していました。
いえ、今でも、ひそかにビョンホンシは張作霖を意識したのではないかと考えています。





それから、三年後の昨年末、「中原の虹」は浅田次郎さんの中国四部作と呼ばれるシリーズもので、一作目が「蒼穹の昴」、二作目が「珍妃の井戸」、そして三作目が「中原の虹」、四作目が」「マンチュリアン・リポート」だと知り、早速、読んでいなかった三作を読んでみました。
その三作を読み進めるうちに、今度は、この中国四部作には、その前段の作品とも言うべき小説があることを知りました。
それが、この「日輪の遺産」です。
物語は、旧日本軍とマッカーサー元帥が終戦前後に壮絶な奪い合いを演じた財宝の恐るべき秘密に迫っていくというものです。
つまり、ビョンホンシを追って、地の果て満州をさまよっていた私は、ふいに生まれ故郷の日本に舞い戻ったということです。

さて、この小説は、ミステリーの要素と歴史小説の要素がないまぜになり、先へ先へと急いで一気に読みました。
いったいどこまでが史実でどこからがフィクションなのか、その境目の見当もつきません。

しかし、私は、この小説を読んで、マッカーサー元帥は、日本を恐れていたということが事実だったとうことを確信しました。
日本を恐れていたために、マッカーサーのGHQ最高司令官の行動や施策は奇っ怪とも言うべきことがたくさんあって、その謎の行動を埋めるべく、多くの人が憶測し、ある人は小説の題材にしたのではないでしょうか。

ところで興味深いのは、小説「日輪の遺産」の中でマッカーサー元帥が語る日本人像と、この度の巨大地震に際してソニー会長兼最高経営責任者であるハワード・ストリンガー氏の語った日本人像との合致です。
氏は「人々は、『不屈の精神』に裏打ちされた、粘り強さ、忍耐力、希望を持ち、社会は隅々まで強いきずなで結ばれており、自らを守るだけでなく、助け合おうとする強い姿勢と『共通の目的意識』を持っている。」と言い、「日本は、きっと確固たる精神力で乗り越えられると私は信じている。」と語っています。
マッカーサー元帥が恐れたのもまた『不屈の精神』と『共通の目的意識』によって再び立ち上がるであろう日本でした。
マッカーサーは、自らの予見を回避するため、様々な策を講じ、そのことが、傍目には謎に満ちた行為に映ったわけです。
そのひとつが教育で、宮本輝氏は、自身のエッセー「ひとたびはポプラに臥す〈4〉(講談社)」で、それに触れています。

被災地の方々は、この不屈の精神で、今を闘っておられます。
昨日は、震災から10日ぶりに生存者が発見されました。
私は、今、西日本に住んでいて、未だ行動らしい行動を起こしていません。
震災直後から、生徒に募金活動を展開させたいと考えていましたから、未だ、義援金の寄付すらもしていません。
明日から、いよいよ生徒会で義援金の募金活動が始まります。
私に出来る事には限りがありますが、出来るだけ募金に協力して、生徒に、この取り組みを通して、ひとり一人の力は小さくても、みんなで力を合わせれば、大きなものになるということを実感させたいです。
ビョンホンシのインタビュー記事が上がった時、何よりも共感したのは、「私が個人的にできること、俳優仲間や知人と一緒に出来ることを分け、日本を援助しようと思います。このような時は、ひとつに団結することで、はるかに大きな力が出ます。」という部分でした。
ひとり一人の小さな気持ちが大きな大きな力になって、被災地に届くことを願っています。

なんだか、支離滅裂なブックレビューになってしまいましたが、最近は、何でもかんでも震災につなげて考えてしまいます。
きっと、日本国民全てがそうなのでしょうね。

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by lee_milky | 2011-03-21 14:31 | Book Review | Comments(0)
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