まず、写真をご覧下さい。
上が팥죽(パッチュク=小豆粥)で下が단팥죽(タンパッチュク=汁粉)です。
映画「王になった男」で偽王のハソンが特に愛した料理は小豆粥と日本語訳されています。
でも、初めのうちは汁粉と日本語訳されていたことをみなさんはご記憶でしょうか。
韓国宮廷料理を企画した時、うりん先生に「『王になった男』にちなんで、小豆粥もメニューに入れて下さい。」とお願いしました。
うりん先生は「王になった男」をご覧になっていないので、「あら、小豆粥が出てくるの。あれは、トンジパッチュクと言ってもともと冬至に食べるものだけど、まあいいでしょう。」と言って請け合って下さいました。
ところで、フライヤーを作る時、先生から料理の写真をお借りしたのですが、その中にパッチュクの写真がありませんでした。
それで、日本語で「韓国」「小豆粥」というキーワードで検索してヒットした日本語のレシピで、撮影用に自分でパッチュクを作ってみました。
それが、写真上です。
できあがったものは、映画で見た料理とは少し違うように見えました。
うるち米の粒が残っていて、冷めるとすぐにお粥によく見る膜が張っていました。
私が利用したレシピの方がコメの分量が多いからだろうかと、その時は思っていました。
講座当日は、うりん先生のレシピで作るから、もっと映画の小豆粥に似るだろうと期待もしていました。
ところが、料理講座の前日、何気なく팥죽(パッチュク)と韓国語で検索して、韓国語のレシピを見ていたら、「단팥죽(タンパッチュク)はこちら」というリンクがあって、そこをクリックしたら、映画の中でハソンが食べていた料理にそっくりな画像が出てきました。
「もしかしたら、あの料理は팥죽(パッチュク=小豆粥)ではなく、단팥죽(タンパッチュク=汁粉)だったかもしれない。」と思いましたが、ちょうどそのころ、うりん先生は鹿児島講座の真っ最中で連絡の取りようもありません。
先生に連絡が付くまで自分自身で更に調べてみると、단팥죽(タンパッチュク)は直訳すると、甘い小豆粥ですが、材料も作り方も異なります。
팥죽(パッチュク=小豆粥)はこしあんとうるち米を一緒に炊きますが、단팥죽(タンパッチュク)は砂糖と少量の塩で味付けしたこしあんに少量の餅米粉を水溶きして入れてとろみをつけます。
それに対して、日本のサイトでは「お好みで砂糖を入れてもOK」と書かれていました。
どうやら、日本では韓国の小豆粥と汁粉が混同されているようです。
夕方になってようやく先生に連絡が取れたころには、「단팥죽(タンパッチュク)かもしれない。」が「단팥죽(タンパッチュク)に違いない。」に変わっていました。
でも、今更、先生に단팥죽(タンパッチュク)のレシピをお願いするわけにもいかず、もともと小豆を煮るところまでは私がしていく段取りになっていたので、先生と話し合って、私が「단팥죽(タンパッチュク)」を作って持って行くことにしました。
家事をしながら小豆を煮て、真夜中に1キログラムの小豆を裏ごしして何とか「단팥죽(タンパッチュク)」を作り、それから自分なりに手抜きしたり、甘味を控えたりしたレシピを仕上げたら朝の5時になっていました。
朝、10時頃会場に行き、みんなで団子を作って仕上げたのが写真下です。
受講者の方々が受付された後、まず단팥죽(タンパッチュク)と宮中伝統茶をお出ししました。
さて、講座から数日が経ち、再び確信から疑問に変わってきました。
팥죽(パッチュク)と단팥죽(タンパッチュク)。
ハソンが食べたのはどちらでしょう。
みなさんは、どう思われますか。
ビョンホンシに聞くのが一番かも知れないけれど、「もともと小豆粥は好きではない。」そうですから、どちらでも良いのかも知れませんね。
■タンパッチュク
<1>材料 (4人分)
◇汁粉
小豆 200グラム 白玉粉 大さじ5 砂糖 100グラム 塩 少々
◇団子
上新粉 50グラム 白玉粉 50グラム 塩 小さじ⅛ 水 大さじ1½
◇トッピング
ナツメ・ゴマ・松の実など
<2>作り方
◇汁粉
①小豆を半日水に漬ける。
②水に浮いた小豆を捨て、残りの小豆をざるにあげる。
③よく水洗いした小豆に多めの水を入れて4~5分強火で煮立てる。
④渋みを除くため、黒くなった煮汁を捨てる。
⑤小豆を小豆の3倍の水でじっくり煮込む。
⑥豆が柔らかくなり皮が割れたら、小豆をざるにあげ、熱いうちにこし器でこす。
⑦小豆を鍋に戻し、弱火で煮ながら砂糖・塩で味を調える。
⑧白玉粉を水どきして鍋に回し入れ、汁粉にとろみが出るまで更に煮る。
◇団子
①材料をよく混ぜ合わせる。
②湯でこねる。
③ウズラの卵くらいの大きさにまるめて、沸騰した湯でゆでる。
④団子が浮いてきたら、水にとる。
<3>盛りつけ
団子を入れた汁粉を器に盛り、トッピングしたらできあがり。
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