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「地方発 ドキュメンタリー 飲酒運転『ゼロ』の願い」を見ました

自分たちが取材を受けておいてレビューを書くというのも変な話ですが、あまりに質の高い番組に感動したので、書き留めておこうと思います。

当たり前のことですが、そこに映っているのは、すべて現実に自分自身が見聞きしたり、そうでなくても既に何度も映像で見たシーンばかりでした。
ですが、見始めてすぐに番組の世界に引き込まれていきました。

数週間前、1時間程度に荒編集された映像を見せていただいたのですが、その時、ある種の違和感を感じていました。
それは、あれほど密着し、生徒や活動の素の部分、ゆるい部分をたくさん撮っているはずなのに、そこがバッサリ切り落とされ、よその部活のような印象になっていたことと、最後のシーンが生徒ではなく、遺族の方だったことでした。

しかし、その違和感は、今日、本編を見て解消しました。
この番組は、生徒の活動の記録ではなく、生徒の活動を通して飲酒運転事故撲滅を願う番組なのだと知りました。
タイトルの「飲酒運転『ゼロ』の願い」は生徒の気持ちやうちの放送部の制作意図を表しているのだと思っていましたが、そうではなく、この番組そのものが「飲酒運転『ゼロ』を願う」番組なのでした。
だからこそ、生徒が時々真剣になるその部分が必要なのだし、ラストは遺族の方だったのです。

最近、中高生にスポットを当てた番組をよく目にします。
この番組もそういった番組に仕上がるとばかり思ってきました。
でも、そうではなかった。

番組の主軸は生徒ではなく、「飲酒運転『ゼロ』の願い」なのでした。
繰り返しになりますが、そこに映っているのは、すべて現実に自分自身が見聞きしたり、そうでなくても既に何度も映像で見たシーンばかりでした。
でも、これらの見慣れたシーンを見ながら、「飲酒運転をなくさねば。」と強く思いました。

生徒自身がこだわった遺族の方の涙のシーンが、ある時は、撮影クルーのカメラマンさんが撮影されたものであったり、またある時は、生徒が撮影したものであったり、生徒が編集している編集機のモニターに映し出されたものであったり、文化祭での上映シーンであったりと、形を変えながら、繰り返されます。
その繰り返しが、見る者を「飲酒運転『ゼロ』の願い」へと引き込んでいきます。

この番組は、そのほとんどが、生徒に密着した映像だけで構成されました。
中学生ですから、自ずと行動半径は狭まります。

繰り返しが多く、しかもほとんど変化のない映像だけで、45分飽きることなく見せるのはなぜなのかを、見終わってから考えてみました。
しばらくして、生徒のキャラがうまくいかされていたからだと気づきました。

下見も含めると8月半ばから11月まで、片道1時間以上をかけて田舎の中学校まで通い詰められました。
いつも生徒に寄り添い、生徒の動きに合わせて撮影されました。
撮影のために要求されることはほとんどなく、いつも見守っておられました。
時にはカメラを回さない時もあったほどです。

そうして撮った100時間近い映像を切り取ってできた「飲酒運転『ゼロ』の願い」。
プロの確かな仕事を間近で見ることができて生徒も私も幸せでした。
この幸運に感謝し、また、新たな気持ちで「飲酒運転『ゼロ』の願い」を込めた番組を作っていきたいと思います。
ありがとうございました。


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by lee_milky | 2013-12-03 02:52 | Comments(13)
Commented by orugann at 2013-12-03 23:28 x
milkyさん、見応えありましたね(●^o^●)
昨夜寝そびれてしまい録画してあるけどと、思いながら
見ました。ベッドの中から首だけ出していました(笑)
よかったですね~~♪

今日もう一度見直しました。いつの間にか正座で見ていました。
それくらい引き込まれました。遺族の思いや生徒さんの思いに
「飲酒運転『ゼロ』の願い」希望の持てる番組に仕上がって
いました。

あの男の子の編集に迷う姿・・・「文化祭だから重すぎてもいけ
ない」という言葉に、やっぱり今の子どもたちは「空気を読むのだ」
と感じてしまいました。ひとりよがりでもだめだし、短時間で
伝えるのは大変ですよね。彼も迷うはずだなと思いました。真摯に
向き合うことの大切さを教えてもらった気がします。
Commented by orugann at 2013-12-03 23:29 x
編集の仕方を変えたからこそ、前の物は「ニュースの話題ね」と
軽く感じていたのですが、今回は伝えたいことがビシバシと良く
わかりました。「とぎれた命のバトン」5分位?の中であれだけ
言いたいことが伝われば凄いです。素晴らしいです。

生徒の自主性に任せるのも大事ですね。milkyさんの待つ姿勢も伝
わりました。私もそんな先生に教えてほしかったです。放送部の
部活の経験は、きっと一生の宝になります。自信がついたことで
しょうね。「全国放送NHKで取り上げてもらって本当に良かったな
と思います。

ナレーションの野口さんの声に温かみを感じました。遺族の方が
給食を食べられてから「50年ぶりかな」と笑顔で話されたので
こちらまで嬉しくなりました。いい番組でした。生徒さんに感謝
です。こちらこそありがとうございました。
Commented by みずき at 2013-12-04 14:07 x
私も昨夜、録画を見ました。
観る前にmilkyさんの記事を読んでいましたので、先入観を入れないで見たらどのように思ったかしらと残念でした。
私も中学生の「とぎれた命のバトン」と言う番組制作のドキュメントかと思っていました。
さすがプロですね。作り方が素晴らしいです。「飲酒運転『ゼロ』の願い」と言う題をきっちりと表した中身の濃い番組になっていました。
そしてこの問題に中学生が真剣に取り組んでいる様子もすごく伝わってきました。
milkyさんの助言で文化祭で上映されたものは、ぐっと良くなっていましたね。この重いテーマを5分で仕上げるのは本当に大変だったろうなと思いましたし、中学生って純粋でしっかりしているなあと思いました。
また、普通なら口を出したい所をじっと待っておられたmilkyさんにすごいと印象に残りました。
編集って、前のときも思いましたが、映画製作で映画は、俳優は演技を終えたらお終いで、それは監督のものになるとキム・ミョンミンが言っていましたがその言葉を思い出しました。
全国放送で私も観ることが出来て本当に良かったと思いました。

所々のシーンがこのブログで読んだシーンで懐かしい?かったです。
Commented by lee_milky at 2013-12-04 23:11
☆orugannさん、こんばんは。
頂いたコメントで、改めて気づかされたことがありました。^^

それは、希望の持てる番組、やっぱり今の子どもたちは「空気を読むのだ」という点です。

飲酒運転「ゼロ」の実現を信じていることが番組作りの原動力になっていると思います。
だからこそ番組そのものが希望の持てるものになっているのでしょうね。

毎年この時期は、私が口出ししないで番組を作ります。
だからなのか、例年、稚拙でものびのびした番組が出来上がるんです。
ところが、今年はいろいろ考えすぎていました。
取材のプレッシャーが思った以上にかかっていたのだと思っていましたが、なるほど、今どきの子だから空気を読んでたのかもしれませんね^^

(つづく)
Commented by lee_milky at 2013-12-04 23:11
(つづき)
ナレーションの野口さんには、2度ほどお会いしましたが、とても素敵な方でした。
↑の荒編集の時にもいらっしゃっていたのですが、涙ながらにご覧になっていました。
野口さんに限らず、ディレクターさんをはじめ、カメラマンさんも音声さんも素晴らしい方で、生徒に寄り添いながら教育してくださいました。

この取材は、はじめは九州地方ネットの25分番組の予定で始まりました。

それが、この番組が出来上がる前に取材映像だけで全国放送が決まりました。
全国放送になったおかげで、どんどん飲酒運転撲滅のキャンペーンが広がっています。
ありがたいことです。
Commented by lee_milky at 2013-12-04 23:22
☆みずきさん、こんばんは。
取材中もいろんな面で勉強になっていましたが、この番組を見てさらに勉強になったと思います。
じつは、2年生は修学旅行に行っていて、まだ感想を聞いていないんですよ。

唯一の3年生は、「予想通りの番組でした。」なんて言ってましたが、実のところはわかりません。

この子達、ほんとはそんなにしっかりしているわけではないのですが、こと飲酒運転に関しては本当によく考えるようになりました。
日々のニュースにも耳を傾け、憤りを感じているようです。

今日も、別のマスコミの方から電話が来て、3年生の成長ぶりに驚いておられました。
2年前は未だ声変わりもしていなくて、表情も幼かったですから。
体だけでなく、この取り組みを通して心も成長してくれていると信じています。

キム・ミョンミンさんの言葉、わかる気がしますね。
素材をどう扱うかで決まるのは、ドキュメンタリーも同じようですね。
Commented by kazue at 2013-12-04 23:57 x
milkyさん、こんばんは。 
忘れず録画をして 見ました。
お線香の上げ方にも慣れない中学生が、一生懸命取り組んだ姿に
感動しました。
子供さんを亡くされ辛い方々も、実に一生懸命中学生に接してられ、
頭が下がりました。
海の中道で手を合わせる生徒さんのすがた、子供さんを亡くされた方の涙に、私も泣きました。

給食を一緒に食べてられる笑顔に涙を感じました。

いい物を見せてもらいました。 
ありがとうございました。
Commented by lee_milky at 2013-12-04 23:58
☆orugannさん、ナレーションは野口さんではなく野尻さんの間違いでしたが、↑のコメントの内容は間違いありません。
野尻さんのエピソードです^^
Commented by lee_milky at 2013-12-05 00:06
☆kazueさん、こんばんは。
見ていただいてありがとうございました。

これまでに、数人の飲酒運転事故で子どもさんをなくされたご遺族の方にお会いしましたが、皆さん、頭の下がる活動をなさっています。

手弁当で忙しくしていらっしゃいますし、生徒にはもちろん、イベントなどで理不尽なことをおっしゃる方にも真摯な態度で接していらっしゃいます。
生徒は、それらの活動も目の当たりにしてますので、なおのこと一生懸命になるのだと思います。

幸い全国方須になり、深夜の放送ではありましたが、こうして全国各地の皆様にご覧いただけて本当に幸せでした。
ありがとうございました。
Commented at 2013-12-05 00:08 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by lee_milky at 2013-12-05 00:23
☆非公開さん、こんばんは。
私は、現在校に異動して約10年ぶりに放送部を担当しました。
実は、放送部を離れている10年の間に動画の編集環境が激変し、ビデオデッキを2台つないで編集していた時代からコンピュータでの編集の時代に変わっていました。
この間、ビョンホンさんの画像の取り扱いが今ほど厳しくない時に、ミュージックビデオやフラッシュの制作に手を出していました。
それが無かったら、放送部で番組制作を再び始めることは無かったと思います。
趣味が高じて仕事につながりました。

一方、自主上映会の時は、放送部でお世話になった新聞社の方に告知をお願いしています。
そうでなければ、突然、無名の団体がお願いしても取り合ってくれません。
仕事と趣味の境目があいまいで、だからこそやっていけてる気がします。

ちなみに、この番組のプロデューサーさんが、G.I.ジョー2の福岡プレミアの時のNHKの番組のプロデュースを手がけられました。

マノサの時は、私の方こそお二人に便乗した形になりました。
やはり、一人では到底行けない場所です。
お二人には本当に感謝しています。

ありがとうございました。
Commented by orugann at 2013-12-05 15:34 x
milkyさん
すみません。野尻あかねさんでしたね。
大変失礼しました。録画なかなか消せませんね。
ありがとうございました。 

milkyさん、人とのつながりや広がりにあらためて
驚いています。いよいよ一番忙しくて、気ぜわしい
時期になりました。お身体を大切にしてくださいね~~♪
Commented by lee_milky at 2013-12-06 04:14
☆orugannさん、おはようございます。
すみませんなんて、私がうっかりしてたんですよ。

昨日は、2年生が修学旅行を終えて、久しぶりに登校しました。
修学旅行が余程楽しかったのか、オンエアで調子にのったのか、浮かれていたので、のっけから、叱ってばかりの1日となりました。

TVでは、遠くから見守ってる感じが出ていましたが、それは、毎年この時期だけなんです。
大会前には、叱るのを通り越して罵ってますから。

昨日、保護者の方に偶然お会いして、お礼を言われたんですが、激しく叱った直後だったので、恐縮しました。

こんな感じで、とても誉められた教師ではありません。
まさに、人のつながりのお陰様で、知らず識らずのうちにここまで来ました。

RED2、好評、好調で嬉しいですね。
あと一回くらいは見に行きたいと思っています。

ありがとうございました。

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