日韓映画文化交流研究会の例会で、エターナルを観てきました。
韓国で観てきたときには、ネタバレを封印してたので、ようやく映画の話ができて嬉しかったです。
まずは、ビョンホンシのメッセージから。
確か、「撮影時から日本のみなさまに観ていただきたいと思っていたので、こうしてご覧いただけることになって嬉しい。」というようなことを言っていました。
短いメッセージなのに、なぜうろ覚えかというと、韓国語なのにタイトルを이터널이(エターナリ=エターナルが)と言ったからです。
そこから、「シングルライダーじゃないんだ~。」「映画のラストからいうとシングルライダーなんだけど。」「でも、シングルライダーだと、戦隊物みたいだもんね。」なんていうことをあれこれ考えているうちにメッセージが終わってしまい、本編が始まりました。
さて、次は、寿司のシーンを見逃さないようにしなければ。
割と早い段階で登場なんですよ。
証券マンのカン・ジェフンは勝ち組。
自身は支店長に昇進し、高級マンションに住み、子どもの英語教育のために妻子を二年間もオーストラリアに留学させます。
いわゆる기러기 아빠(キロギアッパ=一人暮らしの父)韓国ではよくあることみたいで、映画の中でも、ジェフンがオーストラリアで出会うジナがジェフンに「기러기 아빠?(キロギアッパなの?)」と聞きます。
ちなみに、字幕では「教育のため?」となっていましたが。
しかし、その証券会社が膨大な不良債権を出した末に破綻。
ジェフンは、社会的地位も信用も自身の財産も一瞬にして失ってしまいました。
一方、妻のスジンはそのことをネットで知り、自分のヴァイオリンの技術を生かして、オーストラリアで就職し、永住権を得て夫を支えようとします。
しかし、その就職のためのオーディションのために帰国を延ばすことになり、ラインで(韓国だからカカオトークかも?)そのことを「用事ができたから、帰国を一周間だけ延ばします。」とだけ伝えます。
失意のどん底に居るジェフンはそんなラインにイラついているところにスジンから電話がかかり、「かってにしろ。」と怒鳴ってしまいます。
その夜、ジェフンはひとりコンビニで買ったであろう寿司を食べながら、パソコンに向かい遺書を書きます。
そして、精神病院からもらった睡眠薬であろう飲み薬を2ケース一気にウイスキーで流し込みます。
私は、初見の時、「そんなに飲んだら死んじゃうよ!」と思ったのにもかかわらず、ジェフンがこのとき死を選んだことに気づきませんでした。
なぜなら、ジェフンが引き出しからパスポートを出し、その裏表紙に貼り付けてあった付箋に書いてあるオーストラリアのスジンの自宅の住所を見ながら、ネットで調べたり、オーストラリア行の航空券を買ったりするトリックにまんまとひっかかったからです。
その後も、彼が死んでいることを匂わせるシーンはいくつもあったのに、私は、最後の最後まで気づきませんでした。
みなさんは、どこで気づかれましたか。
さて、登場した寿司は6貫でした。結局、監督の意図したとおりになったみたいです。
私は、この寿司は6貫で正解だと思いました。
なぜなら、映画の終盤、ジェフンが遺体で発見されたときに寿司の食べ残しが2貫ほどあって、それがもの悲しさを際立たせるからです。
ビョンホンシの主張の通りもとの12貫のままだったら、残りが多すぎて悲しさを誘いませんから。
しかも、その数少ない残りの内、エビが残してあって、その赤を見るとなおさら切なくなるんですよね。
このように、監督の緻密な計算が随所に観える映画でした。
全ては、何度も観た末に気づいたことですけど^^;
話はそれましたが、映画は、私みたいなうかつな観覧者をジェフンと共にオーストラリアまで連れて行きます。
そこには、ジェフンの知らない妻と息子の楽しい生活がありました。
ジェフンは、その様子を観てこれまでの生活を激しく後悔しますが、時すでに遅しです。
なぜなら、ジェフンはもう死んでしまってるのだから。
スジンは自身がジェフンを支える覚悟をしていることを告げることもなく、ジェフンもスジンに弱音を吐くこともせずすれ違ってしまった。
もし、ジェフンがキロギアッパでなく家族が傍に居たら?
ラインなんかのない時代で、手紙でそのことを知らせていたら?
互いが本音で語り合えていたら?
ジェフンは、死なずに済んだのではないでしょうか。
この映画は、こうした現代社会の闇を突いた映画なんだと思います。
なんだかうまく表現できませんでしたが、これが私の感想です。
和訳
後悔です
全てを失った男の告白
私たちは、ここに誰も知らないうちに一人で来たかのように
そのように静かに過ぎていくしかないのでしょうか?
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