ラストエンペラー

今日は、頂き物のキュウリを使って冷やし中華を作りました。
摘み立てで今が旬のキュウリは、表面のツブツブがしっかりしていて、ちょっと青臭いけれど良い香りがしました。
お野菜にも旬があるように、物事には旬というか、良い時期というのがありますね。
いわゆるグッドタイミング。
私は、仕事に関しては運が良いと常々自負しているのですが、その強運のほとんどが、グッドタイミング。
鑑賞の授業でたまたま取り上げた作家の展覧会が勤務先の近くで開催されたり、マスコミで大きく取り上げられたり、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったグローブが歌ったり。。。
その幸運が次の幸運を呼んで、キャンバスと絵の具が無料で支給されたり、取材が来たりと、枚挙にいとまがありません。

さて、今回のグッドタイミングは、映画「ラストエンペラー」。
「満州国を知るためには、ラストエンペラーを見るのがいいかも。」と思い、놈놈놈のトップに準備中と書いたのが、5月の初めだったでしょうか。
それから、体育会の取り組みがはじまり、ハングル検定でおしりに火がついて、映画鑑賞どころではなくなり、やっと時間的に余裕ができても、この映画のVTRがなかなか手に入らず、ようやく私の手元に届いたのが、昨晩。
こうして、延び延びになり、今日の昼間、やっと鑑賞することができましたが、今日になったことは幸運でした。
なぜなら、昨夜のレビューをあげてから、コメントを頂いたり、それにお返事をする中で、関東軍のしたことや戦犯について色々考えていたさなかだったから。



ラストエンペラーとは、愛新覚羅溥儀(あいしんかくら・ふぎ、満洲語名:アイシンギョロ 、1906年2月7日~1967年10月17日)のことです。
清朝の第11代皇帝である光緒帝の甥として生まれましたが、時の権力者であった西太后にわずか3歳で第12代皇帝として祭り上げられます。
しかし、そのわずか4年後、満族により統治されていた清朝は崩壊、中国は漢民族を中心とした為政者による共和国となりますが、1924年に馮玉祥が起こしたクーデターにより紫禁城を追われるまでは、紫禁城の中だけでは、皇帝としての待遇を受け続けます。
紫禁城を追われたあと、日本租界に身を寄せたために、日本軍と急接近し、後に傀儡国家と言われる満州国の皇帝となります。
このため、戦後は戦犯として長く投獄されました。

映画は、この3歳の時に実母から離され、皇帝として祭り上げられていく皇帝の一生を中心に描かれています。
놈놈놈の予習として観た映画でしたが、予想以上に良い作品でした。
それは、この映画が人間溥儀を描いていたからだと思います。

milkyはこれまで、溥儀が清朝の皇帝になったのと満州国の皇帝になったのとを混同して、幼少の頃に、何もわからないまま、満州国の皇帝にされたのだと勘違いしていましたが、実際は、満州国の皇帝(はじめは執政)となったのは、彼が21歳の時。
判断のつかない年齢ではなかったのだということがわかりました。
とはいえ、宝物を奪うために、漢民族から満族の墓を暴かれ、さらに、親日派であった従姉妹の川島芳子からの後押しもあって、日本と親密になるのは、ごく自然なことのように思えました。
日帝の満州国建国の背景には、こうした満族と漢民族との戦いの歴史があったのです。

幼くして満州国の皇帝にされたと勘違いしていたせいか、これまで溥儀は人形のような存在で自分自身の考えを持っていない人だと思っていましたが、この映画で描かれた溥儀は、とても知的で魅力的な人でした。
それは、この映画の脚本の良さや俳優のジョン・ローンがあまりに魅力的だったから、そう思えたのでしょうが、実際の溥儀も知的で魅力的な人だったのではないでしょうか。

彼は、わずか3歳で実母から引き離され、その後、乳母も奪われました。
このことが政治の犠牲になったためだということは言うまでもありません。
そして、第二皇后がジェラシーのために、身を隠してしまう程、愛し合っていた皇后は、我が身の流転に耐えきれず、アヘン中毒になってしまいます。
彼は、実母もアヘンで亡くしているので、アヘン中毒になった彼女を受け入れることができず、そのせいで、彼女は、彼の運転手の子を身ごもることに。
中国、特に満州はアヘンが蔓延していたようですが、これはアヘン戦争の名残なのでしょうか。
とすれば、これもイギリスの陰謀の結果です。
言い換えれば、彼は、二人の母親ばかりではなく、妻までも政治の犠牲となって奪われてしまいました。

為政者でも、時代に翻弄され、自身の思わぬところに身を置かざるをえないのは、庶民と同じ。
終戦直後自害する甘粕正彦にも、戦犯として処刑される川島芳子にも、長く戦犯として投獄される溥儀にも、それぞれの事情があったはずで、世が世でなければ、立場が立場でなければ、また違った人生があったはずなのに。

ビョンホンシが、「夏物語」のプロモの時に、幼い頃の記憶を語っていたのを思い出しました。
北朝鮮の為政者の顔にひどい落書きをすればする程褒められる授業がとても嫌だったと。
韓国では、反日教育として、日本に対しても同じような教育をしていると聞きます。
あえて、ビョンホンシは語りませんが、彼も日本人の顔にも落書きをさせられたのではないでしょうか。
彼が、このような感性の持ち主で良かった。

反省すべき歴史は現実にあり、憎むべき事実は知る必要があるけれど、それでも、私は特定の個人を恨むようなことはしたくないし、生徒にもそのような教育はしたくないと、改めて思いました。
by lee_milky | 2007-06-17 20:48 | +グッド・バット… | Comments(5)
Commented by yumi at 2007-06-18 00:35 x
milkyさん こんばんは。

「ラストエンペラー」は高校世界史の授業の教材として使用しました。
先日のお話にもありましたが、私達社会科全般を受け持つ者は、いかなる授業でも、自分の思想を表してはいけない、と言われていましたので、生徒には「貴方達はこの事実をどううけとめるか?」と問いながら視聴したものです。
結構長時間の映画だったので躊躇いはあったのですが、主任より「貴重な時間になると良いね」と言われ実行しました。

自分の生まれた国日本は被害国であると同時に加害国でもある事実を知って欲しかった・・・
しかし歴史というのは本当に思想をいれると全く違った現実を生み出すものですね。
Commented at 2007-06-18 09:59
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2007-06-18 10:05
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by lee_milky at 2007-06-18 19:36
☆yumiさん、こんばんは。
どんな授業をされたのでしょう。
きっと楽しくて充実した授業だったでしょうね。
今、社会の選択で「ラストサムライ」を使った授業が行われています。
内容はわかりませんが、希望者が殺到して、クラス編成が大変でした^^;

上手く書けなかったけど、この映画、とてもスキでした。
同じ時代の翻弄されものでも、夏物語とはスケールが異なり、見応えがあったように思いました。
Commented by lee_milky at 2007-06-18 19:41
☆非公開さん、お久しぶりです。
そうですね。
ビョンホンシのお陰でえたものは大きいです。

私自身思い込みや思っていることを上手く表現できないことが多く、果たして問題提起になっているかどうかは疑問ですが、そう言って頂けると嬉しいです。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
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